「シェルブールの雨傘」で知られる
ジャック・ドウミ監督
その彼が
「シェルブールの雨傘」を
後回しにして
制作したのがこの映画です。
タイトルの
“天使の入江”とは
なんでしょう
それは、
フランスの南東部の港町で
地中海に面した
美しい湾のことを
“天使の入江”
と呼んでいるんですね。
早速、
映画の冒頭から
見せてくれます。
天使の入江で、
1人の女性が歩いています。
そこから
超スピードの
ズームバック移動
それにあわせるかのような
ピアノ曲
果てしなく続く
ズームバック
この疾走感
この
1シーン1カットで
もう
見ている私のを
わしづかみにされましたね。
素晴らしい
ドラマは、
パリの銀行員の
ジャンがギャンブルに目覚めて
ギャンブルに生きようと決心し、
この“天使の入江”に来る
という流れです。
なので、主人公はジャンです。
ここら辺は
普通のドラマ展開なんですが、
なんとも言えない
フランス映画らしい
雰囲気がたまりません。
なんか、久しぶりに
フランス映画を見ている
そして、
ジャンが“天使の入江”で
あの冒頭の女性と出会います。
この女性。
見た目では
あまり好みの女性ではありません。
彼女が登場したとき
なんだ
小母さんが出てきたぞ
という印象だったのです。
ところが・・・・
その、何ともいえぬ
彼女の仕草
そして性格が
主人公を翻弄してしまうんです。
これねー
自分も主人公と同じ
間違いなく
こういう女性に
(*゚д゚*)弱いんだよね~。
彼女は決して
自分の思うままに男を操作して
動かそうとは思っていないの。
ただ、自分の欲望のままに
動いているだけ、
例えて言うなら、
気まぐれな猫ちゃんと同じ、
だから
気になって気になってしょうがない。
もう頭の中は彼女でいっぱい。
しかし、
彼女はギャンブル依存症で
どうしようもない
2人は勝ったり負けたり
先のないギャンブル地獄に陥ります。
この映画には
モチーフがあります。
ギリシア神話の
オルフェの冥界下りです。
亡き妻を取り戻すため
オルフェは冥界に入ります。
つまり地獄に陥るのです。
ジャック・ドウミは、こう言っています
この映画で最も描きたかったのは
情熱のメカニズムだ
さあ、果たして
“情熱”とは
彼女のギャンブルなのか
それとも
ジャンの恋愛なのか
もうドキドキしながら
見るしかない❣
このシーンもたまりません。
ジャンがやきもちをやいて
思わず彼女を
ひっぱたいてしまった。
彼女は崩れ泣きだす
ジャンは透かさず
「ごめん、ごめん」と
彼女に謝りながら縋る
(o゚Д゚o)分かるわ~❣
自分も同じことやりそう
恋に不器用な自分が
先の見えない
恋愛に振り回された
あの┣¨キ(*゚д゚*)┣¨キ感
なんとも懐かしい~
でも
ラストのシーンは、
やっぱりシネマだね
ん
それとも、自分には
あの時の彼女を引き止める
ものがなかったのかな…
いっ、、いや!
やっぱりシネマだね
ちなみに
オルフェの冥界下りの最期は
こうでした。
冥界の番犬
ケルベロスも
冥界の王
ハーデースも
妻を失うオルフェの
悲しさに同情し
冥王ハーデースは、
「冥界から抜け出すまでの間、
決して後ろを振り返ってはならない」
という条件を付けて、
彼の妻エウリュディケーを
オルフェの後ろにつけて送り返した。
出口の光が見え、
冥界からあと少しで
抜け出すというところで、
オルフェは後ろを振り向き、
妻の姿を確認してしまった!
それが最後の別れとなった。
なるほど
改めて
この映画のラストに
納得しましたね。
「天使の入江」は、
1963年作の映画ですが
日本では
半世紀後の2017年に
正式初公開されました。
しかも
「ドゥミとヴァルダ、
幸福についての5つの物語」
と言う特集上映です。
ドゥミとは、
この映画の監督である
ジャック・ドウミ
ヴァルダとは、
ジャック・ドウミの奥さんで
映画監督でもある
アニエス・ヴァルダ
「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも
呼ばれていますね。
この2人の特集がなかったら
素晴らしい映画に出会えなかった。
主催者にホント感謝です。
えっ、
ギャンブル依存症の
彼女を演じたのは
あの
ジャンヌ・モロー
だったの~
・・・・・・・・
それは、失礼しました。。
パリで銀行員として働くジャンは、
同僚に連れられ
初めて訪れたカジノで大当たりし、
大金を得る。
以来、
ギャンブルの魅力に
とり憑かれてしまった彼は、
南仏ニースの安ホテルに居を定め、
カジノ通いの毎日を過ごすようになる。
ある日、
以前パリ近郊のカジノで見かけた
ブロンドの女性ジャッキーと意気投合し、
ともにギャンブルにのめり込んでゆく……。
Data
1963年 | フランス |
監督・脚本 | ジャック・ドゥミ |
撮影 | ジャン・ラビエ |
音楽 | ミシェル・ルグラン |
出演 | ジャンヌ・モロー クロード・マン |