イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト

ルネッサンス期ドイツ画家
マティアス・グリューネヴァルトの代表作
「イーゼンハィム祭壇画」は、
フランス・アルザス地方の小さな村
イーゼンハィムにありました。

それで
「イーゼンハィム祭壇画」
と言うんですね。

アルザス地方は、フランス領になったり
ドイツ領になったりと複雑な場所でした。

祭壇画とは、
キリスト協会の祭壇に飾るものです。

この「イーゼンハィム祭壇画」は、
アルザスの彫刻家
ニコラウス・フォン・ハーゲナウ
が製作した。
聖アントニウス
木像を安置するもので、
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
グリューネヴァルト
複数の絵画(パネル)が
それを覆うように組み合わせた
多翼祭壇画たよくさいだんがとなっています。

聖アントニウスとは、
修道会の守護聖人です。

この「イーゼンハィム祭壇画」
聖アントニウス修道院 付属施療院 礼拝堂
にありました。

この多翼祭壇画たよくさいだんがは、
3つの組み合わせ(3面)になっていて
教会の祭礼の儀式に応じて開閉が出来る
折りたたみ式の扉になっています。

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第1面

 

平日は扉が閉じられた状態でした。
これが「第1面」(平日面)です。
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト

向かって
矢印左側には
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
聖セバスティアヌスの殉教じゅんきょう

中央
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
キリストの磔刑たっけい

矢印右側には
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
隠者 聖アントニウス
となっています。

矢印下部プレデラには
死んだキリストを抱く聖母マリアを描いた
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
「ピエタ」です。

 

ヨーロッパでは、
ライ麦パンによる
麦角ばっかく中毒が起きていて

聖アントニウス会の修道士が
麦角ばっかく中毒の治療術に
優れていたそうです。

それで
ヨーロッパでは麦角ばっかく中毒を
「聖アントニウスの火」
と呼んでいました。

麦角ばっかく中毒
手足が燃えるような感覚を与え、
壊死えししたり、
精神異常、痙攣、
意識不明、流産などが起き
死に至ることもある
恐ろしい食中毒だったのです。

その
麦角ばっかく中毒の苦痛を、
中央パネルの
十字架のキリスト
同じ苦痛に見立て
その右側に
麦角ばっかく中毒患者の守護神として
聖アントニウスが描かれました。

左側の
聖セバスティアヌスは、
”火のように激しい病”
ペスト
も流行していたので
その
ベスト(黒死病)患者の
守護聖人として
描かれました。

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第2面

聖アントニウス会修道院では、
日曜日になると
中央の扉を開き第2面が現れます。
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
第2面は、
矢印左側から

受胎告知じゅたいこくち

中央矢印

天使の合奏

中央矢印

聖母子

矢印右側

キリストの復活

イエス・キリストの物語になっています

 

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第3面

 

そして、第3面は、
聖アントニウス会修道院の守護聖人
聖アントニウス祭日のみ公開されました。
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
イーゼンハィム祭壇画_ グリューネヴァルト
中央の彫刻は
真ん中に聖アントニウス
左に聖アウグスティヌス
右に聖ヒエロニムスがいて
下部のプレデラには
キリストと十二使徒が彫られています。
そして、
矢印左側のパネルには

聖パウロを訪れる聖アントニウス

矢印右側のパネルには

聖アントニウスの誘惑


聖アントニウスの生涯の出来事が
描かれています。

祭壇画から交響曲に?

このように、
「イーゼンハィム祭壇画」は、
キリストの物語だけでなく
ベスト(黒死病)患者の
守護聖人聖セバスティアヌスや、
聖アントニウスの生涯の出来事もある
多翼祭壇画たよくさいだんがとなっているのです。

面白いことに
この
「イーゼンハィム祭壇画」
ちなんだ題名がつけられた
交響曲画家マティス
があります。

これは、ドイツの作曲家
パウル・ヒンデミット
1933~1934年にかけて作曲した曲で
3つの楽章で構成されています。

まず、第1楽章は、
「天使の合奏」

第2面、中央左の絵ですね。
ドイツの古謡「3人の天使が歌う」による
第1主題が、
`天使の楽器'である
トロンボーンで演奏され、
やがて
フルート、ヴァイオリンにより
第2主題が奏されます。

つぎに、
第2楽章は、
「埋葬」
下部のプレデアの「ピエタ」を指します。

第3楽章は、
「聖アントニウスの誘惑」です。
第3面の右側の絵ですね。

この
交響曲画家マティスは、
同じタイトルのオペラも作曲していて
オペラの方は、マティスの物語になっています。

マティスとは、もちろん
マティアス・グリューネヴァルトのことです。

 

 

グリューネヴァルト鑑賞作品一覧

 

 

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