ウンタマギルーとは何でしょう?
これは、沖縄の西原町に伝わる
民話「運玉義留」のことなんです。
西原町と与那原町の境にまたがる
運玉森を拠点とする義賊なんですね。
でも、民話「運玉義留」は
18世紀の初頭に活躍した義賊
今回の映画は
戦後アメリカ統治下が舞台です。
西原親方の製糖所で働くギルーは、
そこで暮らしているマレーにぞっこん。
エッチしている夢まで見るんです。
しかし、
その夢を見て
ギルーをひっぱたいて起こす
ウトゥー婆さん。
これも、また不思議なんだけど
美人でグラマーなマレーも
実はニライカナイの神様から預かった
ゥワーマジムン(豚の化身)なんですね。
それを知らないギルーは
マレーを誘い関係を持っちゃう。
さあ大変!
神様から預かったマレーが
けがれた事を知った西原親方は
ギルーを殺そうとします。
ちなみに西原親方の親方は
親方(ウェーカタ)と呼び
琉球王国の称号の一つで
王族の下に位置する最高の称号なんです。
そんな人に狙われたギルーは
運玉森に逃げ込み
森の精霊キジムナーから霊力を授かります。
そして
ウンタマギルーとなるのです。
ちなみに
森の精霊キジムナーを演じたのは
宮里榮弘さん
この人ね~
琉球古武道の師匠であり、
「沖縄武芸道」というCDを出したり、
琉球舞踊など伝統芸能を極めた人です。
だから、本編に出てくる鎌術は必見。
迫力があります。
また、この映画
ところどころに
沖縄民謡や琉球舞踊がながれて
独特の雰囲気をだしています。
さらに、驚いたことに
セリフが全編、
ウチナンチュ―(琉球方言)なんで、
字幕をみないと何を話しているのかわかりません。
これは日本映画(邦画)とは言えません。
あえて言うなら琉球王国の映画でしょう。
高良倉吉さんの
『日本の多様性としての沖縄--歴史・文化の視点から』
では、
日本語は大きく
「日本本土方言」
(東北方言・関東方言・関西方言・九州方言など)
と
「琉球方言」
(奄美方言、国頭方言、首里・那覇方言、など)
に分けられているそうです。
さらに
14世紀末から15世紀初期にかけて、
沖縄の島々には琉球王国という
独自の国家が出現し、
日本本土の国家とは
異なる動きを始めたのです。
琉球王国は、
それから500年ほどの歴史において、
中国を始め日本・朝鮮・東南アジアの
国々と外交や貿易を展開し、
東アジアを代表する海洋王国としての
発展を遂げることになります。
つまり
私たち日本人とは別の歴史があるわけです。
1879年春、
日本本土に誕生したばかりの
近代国家は、
強引な形で琉球王国を廃止し
沖縄県を設置するという
行動に出ました。
沖縄県設置は、
琉球王国の伝統を持つ地域に
決定的な影響をもたらしました。
500年にわたって、
中国を始めアジア諸国との
交流した蓄積を持つ地域が、
たちまち日本の辺境となって
しまったからです。
沖縄の人々は、
みずからのことをウチナーンチュ、
日本本土に住む多数派をヤマトゥンチュ
と称して区別する伝統を
今でも持っています。
つまり、
二つのアイデンティティを
使い分けているのです。
この映画が公開されたのは
1989年
沖縄が日本に返還されたのが
1972年
この沖縄返還が近づくにつれ、
「反復帰論」として琉球独立運動がおきた。
さらに
1979年、
明治政府の琉球処分から
100年目にあたることもあり、
「琉球文化の独自性を見直そう」
といった集会が
沖縄県各地で活発に開かれたそうです。
この10年後がこの映画。
そして、
1995年、
沖縄県で米軍基地に対する
反対運動が起きたときに、
琉球独立論が取り上げられたそうです。
それを考えると
この映画は
琉球民族のお伝えなんです。
運玉義留は
民衆を救う反権力的な存在として
伝えられたのです。
それが
アメリカ統治・日本復帰によって
失われていく…
オープニングのあの映像は
さすがの運玉義留も
どうにも出来ない琉球の悲劇を
描いているんだと思います。
さらに、ラストのあのシーンもね!
繰り返され続いた物語が
ドッカ~ン
最後に気になることが。。
高良倉吉さんの
『日本の多様性としての沖縄--歴史・文化の視点から』
によると
アジア諸国との交流の中で、
中国との関係は特別なものだったこと。
琉球の国王は外交的に
中国皇帝の臣下であり、
その主従関係に基づく
信頼関係を前提に、
琉球は対中国貿易で
常に優位に立つことができたこと。
そうした中国との関係は500年も続き、
この期間に公式ルートを通じて
中国に渡航した琉球人の数は
5万~6万人に達すると推定されること。
と書かれています。
中華人民共和国には
琉球人が中華民族であるとして、
関連性や領有を主張する
意見が存在しています。
なかには
「琉球は中華民族のなわばり」であり、
中国領土であると
主張している団体もあります。
500年にもわたって
琉球の国王は
中国皇帝の臣下であった。
それが、たとえ
琉球側が外交的だと
後から言っても
中国としては
そんなこと知ったことないでしょう。
まして、
日本が強引な形で琉球王国を廃止し
沖縄県を設置してから
今年の2025年までで
たったの119年
(注・アメリカ統治下をのぞいた年数)
台湾問題のさきに、
日本は、沖縄は、
どう対応するのでしょうか?
Data
1989年 | 琉球王国(邦画) |
監督: | 高嶺剛 |
出演: | 小林薫 戸川純 青山知可子 |
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