晩年になったミレイは、
子どもを題材に
たくさんの絵を描きました。
そんな
子どもを題材にした
絵の中で
イギリス中の人々に
愛されるようになった作品が
今回の絵
「シャボン玉」です。
この絵はもともと
「子どもの世界」
というタイトルで
テーマも人生の儚(はかな)さ
を表現しています。
少年には、
スポットライトがあたり
いかにも若々しく美しい
その上を、シャボン玉が
暗闇に向かって浮いていきます。
シャボン玉は、
いつか割れてなくなる。
それは、人生そのものです。
また
少年の左側には
鉢に植えた植物があり
右側には、
割れた鉢が横たわっています。
これも、
月日が経つ虚しさ
なのかもしれません。
このように
人生の儚さを描いた作品が
何故、
イギリス中の人々に
愛されるようになったのでしょう。
この絵は、なんと
『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』誌に
カラーで掲載されて大人気となり
その後、
ペアーズ石鹸の
宣伝広告イラストとして使われ、
さらに有名になったのです。
ミレイは、
自分の孫をモデルにして描いた
この作品が広告に使われたため、
ひどく憤慨しました。
そういう意味では
アートとイラストの
境界線を解らなくした
問題作なのかもしれません。
ミレイ鑑賞作品一覧