ある女性が背伸びをしています。
ただそれだけの絵しか見えません。
しかし、
この絵は深い哀しみがあるのです。
1851年、
イギリスのロイヤル・アカデミーで
最初にこの作品が展示されたときには
アルフレッド・テニソンの詩
「マリアナ」(1830年作)
の一節がともに飾られてました。
その詩とは、
乙女はただ
「わたしの人生は侘しいわ。
あの方がいらっしゃらないから」
と呟いた。乙女は言う
「私は寂しくて、疲れたわ。
もういっそ死ねたらいいのに」と。
この詩は、
シェイクスピアの
「尺には尺を」を題材に
イギリスの詩人
アルフレッド・テニソンが
つくったものです。
その内容は
マリアナは船の難破によって
持参金を失い、
そのため婚約者だった
アンジェロに捨てられてしまいます。
マリアナは塀で囲まれた館で
孤独な生活を送りますが、
まだなお
アンジェロへの想いを断ち切れず、
嘆き続けます。
部屋の床には
枯れ葉が散らばったままになっています。
そして、
作業をしている刺繍は
内職なのでしょうか。
もし、
趣味で刺繍をしているのであれば
こんな疲れ切った
背伸びなどしていないでしょう。
なんとなく
生きていくための内職作業
ただ、ただ時間だけが過ぎていく
マリアナは無表情です。
もはや、
抜け殻のようで
生きている感じがしません。
この絵を見ると、
あらためて
生きる意味を考えさせられますよね。
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