この絵を見て
まず目が行くのは、３人の女性です。
そして、
女性が差し出す手の先に
担架で運ばれてる足
その下に
くらい場所で
一人の男が
こちらを見て座っています。
この絵のタイトルは
「息子の遺骸を迎えるブルータス」
または
「ブルータスの邸に
息子たちの遺骸を運ぶ警士たち」
です。
そう、
暗い場所に座っているのが
ブルータス。
３人の女性の２人は
ブルータスの娘
手を差し出しているのが
ブルータスの妻
そして、
担架に運ばれた足は
ブルータスの息子です。
どういう事でしょう
fa-bank
ローマの歴史書に
語られる物語です。
ローマの暴君
夕ルクィニウス王の
甥ブルータスは
暴君夕ルクィニウス王
に対して
反逆を企てて追放され、
共和制を樹立しました。
しかし、
ブルータスの
息子たちが
王政復古の陰謀を企てたため、
ブルータスは
共和制の敵となった
息子たちの処刑を命じたのです。
この絵は
処刑された息子の遺骸が
屋敷に運び込まれるところを
描いているんですね。
この絵を描いたのは
ルイ・ダヴィッド
新古典主義絵画の巨匠です。
この絵も
新古典主義絵画になっています。
まず
ニコラ・プッサンが確立した手法
限定された数の人物を水平線と垂直線を
強調した構図に配することによって
倫理的な意味をもつ古代史の事件を
明瞭に物語るという物語画（歴史画）
を応用しています。
さらに
古代彫刻を思わせる
大理石の
浅浮き彫り（ローレリーフ）で
人物が何層にも重なる
表現になっています。
それに
光の効果を使い
見る者の目線を
一番明るく目立つ
３人の女性から
息子の遺体、
そして、
こちらを見つめて
父としての悲しみと
愛国心のいたばさみになった
ブルータスの表情を
見事に表現しています。
この作品も
愛国心や犠牲という、
新古典主義らしいテーマになっています。
この絵が完成したのは
1789年、
バスティーユ襲撃が始まり、
フランス革命が勃発
この絵がサロンに発表されると、
たちまち
この絵に対する抗議がおこり
ダヴィッドの弟子たちは
警護にあたって、
この絵を保護しました。
何故なら、
この絵の主題である
国家への犠牲と愛国心が、
古代ローマの王政を廃して
共和制をうちたてた話、
つまり革命の絵画に
代わってしまったからです。
ダヴィッドは
この絵について
こう語っています
1人の男で、
父親でもあるブルータスが、
自ら息子たちに
死刑の判決を下したのち
帰宅すると、
2人の息子の遺骸が
埋葬のために運ばれてくる。
ロ―マの像の足もとで
苦悩するブルータスは、
叫び声をあげる妻と、
恐怖のあまり失神する
長女によって、
ふとわれに返る。
こういうふうに
言葉にすれば美しいが、
絵については、
私はあえて
口を開くつもりはない…
と
この絵画に
絶対王政に対抗する
共和制の主張を感じとった
革命派の人々は、
ダヴィッドを
く革命の芸術家〉とたたえて
彼に
「テニス・コートの誓い」 を
依頼しました。
そして
ダヴィッド自身も
フランス革命にのめり込んで
革命のプロパガンダを
描くようになったのです。
