この絵は、
ビクトリア朝の伝統の
1つを示しています。
ビクトリア朝時代の人々は、
花嫁の付き添いが、
習慣にならい、
指輪にウェディング・ケーキ
のかけらを9回通して
未来の恋人が現れるという
迷信を描いたものです。
女性の胸のオレンジ色の花は
純潔を表しています。
しかし、どこか変です。
花嫁の付き添いの表情は
未来の恋人が現れるという
期待に満ちた表情ではなく
呆然とした顔になっています。
彼女の目はまるで
死んだ目になっています。
考えてみると
この時期のミレイの作品は
ほとんど、
女性の絶望を描いています。
1849年の《ロレンツォとイザベラ》
では男は殺され狂って死にますし
1851年の《マリアナ》は
全財産を失い男に捨てられ、
生きるのに疲れています。
そして、
この作品の後に発表した
1852年の《オフィーリア》でも、
父親を殺されて狂気のうちに自殺するのです。
だから
この作品も、
女性の絶望なのでしょう。
私が思うに、
ミレイはそういうところに
美学を感じていたのかもしれません。
ミレイ鑑賞作品一覧