西洋絵画論 マティアス・グリューネヴァルト マティアス・グリューネヴァルト (1470-74~1528年) 本名ではありません。 本名は マティス・ゴットハルト またはニートハルトです。 マティアス・グリューネヴァルトでは ないんですね~。 しかし、 美術史や美術館の展示では マティアス・グリューネヴァルトに なっているので ここでも、その名で紹介します。 彼の...
西洋絵画論 シャボン玉_ジョン・エヴァレット・ミレイ 晩年になったミレイは、 子どもを題材に たくさんの絵を描きました。 この 「午後のお茶(おしゃべり)」 もそうです。 そんな 子どもを題材にした 絵の中で イギリス中の人々に 愛されるようになった作品が 今回の絵 「シャボン玉」です。 この絵はもともと 「子どもの世界」 というタイトルで テーマも人生の儚(はかな)さ...
西洋絵画論 ローリーの少年時代_ジョン・ミレイ この絵は エリザベス朝の有名な 探検家ウォルター・ローリー の少年時代を描いています。 ウォルター・ローリーは 長身の美貌で 女王エリザベス1世の 寵臣ちょうしん(寵愛ちょうあいを受けている家来)に抜擢され、 続々と恩賞を与えられていたそうです。 そして、 自前の帆船「ローリー号」を新造して 北米大陸の最初の入植を試...
西洋絵画論 ロンドン塔の王子たち_ジョン・ミレイ 2人の男の子が 周りを見渡しながら 恐怖に慄おののいています。 そう、 この絵には イングランドの 忌いまわしい歴史を 顕あらわにした絵だったのです 時は1483年 イングランド国王 エドワード4世は 40代の若さで 急死しました。 エドワード4世には 2人の男の子と 5人の女の子がいます。 王位は 12歳の長男、 ...
西洋絵画論 ブラック・ブランズウィッカー_ジョン・ミレイ 1857年に発表した 「浅瀬を渡るサー・イザンブラス」 で散々非難され うちひしがれた ミレイであったが、 その3年後に この作品でみごとに 汚名を挽回ばんかいしました。 この絵のタイトルである ブラック・ブランズウィッカー とは、 黒い制服によって 「黒い軍勢」と呼ばれた、 ドイツ義勇軍 ブラウンシュヴァイク騎兵...
西洋絵画論 過ぎ去りし夢-浅瀬のイサンブラス卿_ミレイ 中世の騎士が、 水かさの増した川のほとりで 飲み込まれそうになっていた 2人の農夫の子どもを助けて 馬にのせて、川を渡る様子が 描かれています。 この絵は、 中世の詩 「イサンブラス卿」が 元らしいのですが 詩にその場面は ないそうです。 この作品が発表された時 多くの批評家たちに不評を買い、 嘲笑されました。 さらに...
西洋絵画論 落葉(枯れ葉)_ジョン・エヴァレット・ミレイ 美しさにあふれた主題のない絵 を意図した ミレイですが、 ミレイ 人々がこの作品を 単なる日常の 小さなエピソード としてとらえるたびに、 私は侮辱されたように 感じた と語っています。 どういうことでしょうか? この絵の発想は ある秋の日に 詩人アルフレッド・テニソンの 田舎の家を訪問した際に、 枯れ葉集めを手伝...
西洋絵画論 1746年の放免令_ジョン・エヴァレット・ミレイ この絵の説明は こう書いてあります。 1746年の カロデンの戦いで 捕らえられた ジャコバイトが、 家族と再会する場面を 描いていると。。。 さて そう書かれていても 見ている私には さっぱり解りません そもそも カロデンの戦いとは? ジャコバイトって 何のことでしょう? そこで、 この絵を見るにあたって 少し歴史...
西洋絵画論 オフィーリア_ジョン・エバレット・ミレイ かなりショックな絵です。 女性が浅瀬の中で 溺死しているのです。 こんな怖い絵は いったい 何を意味しているのでしょう。 この絵の題材は シェイクスピアの 戯曲『ハムレット』です。 その内容は ハムレットの父である デンマーク王が突然亡くなり、 その弟クローディアスが デンマーク王の座に就き、 ハムレットの母までも ク...
西洋絵画論 盲目の少女_ジョン・エバレット・ミレイ ここに2人の少女がいます。 1人は、盲目の少女 もう1人は普通の少女 この作品には こう言われています。 盲目の少女は、 視覚以外の感覚が 健全であることを示している。 と はたして、 それだけの作品なのでしょうか? まず、 2人をじっくり見てみましょう。 2人の服は、 まるでそれしかないように 着続けた感じがします...
西洋絵画論 マリアナ_ジョン・エヴァレット・ミレイ ある女性が背伸びをしています。 ただそれだけの絵しか見えません。 しかし、 この絵は深い哀しみがあるのです。 1851年、 イギリスのロイヤル・アカデミーで 最初にこの作品が展示されたときには アルフレッド・テニソンの詩 「マリアナ」(1830年作) の一節がともに飾られてました。 その詩とは、 乙女はただ 「わたしの...
西洋絵画論 両親の家のキリスト_ジョン・ミレイ 1850年、 イギリスのロイヤル・アカデミーで 物議を交わした問題作が この絵です。 大工であるヨセフの工房に、 妻マリアとその子キリストがいます。 キリストは 左手を上げる祝福のポーズを取っており、 その手のひらには血の跡が見られます。 これは のちにイエス・キリストが 磔刑たっけい(はりつけの刑)にされるときに 手...
西洋絵画論 花嫁の付き添い_ジョン・エヴァレット・ミレイ この絵は、 ビクトリア朝の伝統の 1つを示しています。 ビクトリア朝時代の人々は、 花嫁の付き添いが、 習慣にならい、 指輪にウェディング・ケーキ のかけらを9回通して 未来の恋人が現れるという 迷信を描いたものです。 女性の胸のオレンジ色の花は 純潔を表しています。 しかし、どこか変です。 花嫁の付き添いの表情は ...
西洋絵画論 ロレンツォとイザベラ_ジョン・ミレイ ある食事の風景です。 しかし、 じっくりと見てみると奇妙です。 画面手前の足を延ばした男性と 犬を撫でている女性は テーブルからはずれて座っています。 そして、 その女性に食事を渡す男性? これは一体何を表しているのでしょう? この絵のタイトルは 「ロレンツォとイザベラ」 この絵を見ると2人は解ります。 女性がイザベラ...
西洋絵画論 ジョン・エヴァレット・ミレイ ジョン・エヴァレット・ミレイ (1829-1896) ラファエル前派を結成し、 宗教的題材または 文学性の濃い作品を 細密な手法で描いた イギリスの画家です。 主に ロイヤル・アカデミーで活躍し、 晩年には ロイヤル・アカデミーの会長も務めました。 1829年 イングランドのサザンプトンに生まれる。 幼いころから優れ...
西洋絵画論 ラファエル前派 ラファエル前派ぜんぱ(PRB)とは 本来「ラファエル前派兄弟団」 (Pre-Raphaelite Brotherhood)という。 「ラファエル前」の、 ラファエルとは あのルネッサンスの巨匠! ラファエロのことを指し それ以前のことを意味する。 「兄弟団」は、 (宗教的な)結社を 指すものと言われている。 イギリスの...
芸術論 謝赫(しゃかく)の「画には六法がある」 とは? 前回書いた。 謝赫(しゃかく)の『古画品録』にある 「画には六法がある」 のことについて 知らない人もいると思うので 簡単に説明します。 まず 謝赫(しゃかく)とは 中国・南斉の画家で、約5世紀頃の人です。 六法とは何か? 彼が『古画品録(こがひんろく)』 でとなえた 六法とは 1.「気韻生動(きいんせいどう)」...
芸術論 気韻生動(きいんせいどう)日本画や水墨画の極意 みなさんは、 「気韻生動」という言葉を知っていますか? 私が、この「気韻生動」を知ったのは あの横山大観先生の言葉からです。 大観先生の言葉では 画論に気韻生動ということがあります。 気韻は人品の高い人でなければ発揮できません。 人品とは高い天分と教養を身につけた人のことで、日本画の窮極は この気韻生動に帰着するといっ...