1857年に発表した
「浅瀬を渡るサー・イザンブラス」
で散々非難され
うちひしがれた
ミレイであったが、
その3年後に
この作品でみごとに
汚名を挽回しました。
この絵のタイトルである
ブラック・ブランズウィッカー
とは、
黒い制服によって
「黒い軍勢」と呼ばれた、
ドイツ義勇軍
ブラウンシュヴァイク騎兵
のことをいいます。
そして、絵の背景には
ナポレオンの肖像画が,,,
これで当時の観衆は
ワーテルローの戦い
に向かう場面
とわかったのです。
時は1815年の
ワーテルローの戦いに
向かおうとしている
ブラウンシュヴァイク騎兵を
舞踏会用のドレスを着た恋人が
ドアを開けるのを防いでいます。
彼と別れたくないのです。
この絵の主人公!
ブラウンシュヴァイク騎兵は
ドイツ義勇軍ですが
イギリス・オランダ連合軍では
ウェリントン元帥の
予備軍団にいましたし、
また、
プロイセン王国に
合流している部隊も
あったそうです。
彼が、どちらの部隊にいたのか
解りません。
じつは、ミレイが
この絵を発表したときには
「ブラック・ブランズウィッカーズ」
と複数形のタイトルでした。
彼はこう言っています。
彼らは、ほぼ
絶滅
してしまったが、
驚くべき勇敢さで
戦いを実行した…
私は
すべてそれを
私の心の目の中に
持っており、
それが作品として
驚異的な成功になる
と確信している。。
つまり、
この絵の主人公は
1人の男ではなく
「ブラック・ブランズウィッカーズ」
そのものなんですね。
愛する人を守るため
命を捨てて
勇敢に戦って散った
「ブラック・ブランズウィッカーズ」
彼らの正義と愛
戦争画で描くのではなく
衣装と小道具(ナポレオンの絵)
そして、感情で
そのときを物語る表現は
実に素晴らしい
この作品は、
たいへんな人気を呼び
大画商
アーネスト・ガンバートから
1000ギニーで売られたそうです。
ミレイ鑑賞作品一覧