この映画ね!
最初に見た時は
ザーという音が
大きくセリフが
全然聞こえない。
その上、
主人公が
海野又十郎だと思って
見ていたので、
なんか
すごく暗い映画だな~
と感じた。
だって
首吊りで始まり
心中で終わるんだもん。
ところが
デジタルリマスター版
で見ることが
出来て、
やっと内容が解った
この映画には主人公が2人いる
浪人・海野又十郎と
髪結の新三である。
しかも
2人の行動が逆である。
又十郎は武士なのに、
かつて父が世話をした男に
頭を下げて仕事を貰おうとしている。
それは
プライドを捨てて
権力に従う姿勢である。
一方、
新三は庶民なのに
権力に立ち向かい
周りの人々からも
頼りにされている。
また面白いのが、
長屋の住民。
全然人情味がなく、
みんな自分勝手である。
又十郎と新三、
この2人の関わり方が
映画の核心だったね
この2人が
権力に対して
一矢報いたのが良かった~
そして
出来た奇妙な友情
しかし、
ラストは人情紙風船
いろんな人々の
考えが交錯して
こういう結末になるのは
見事でしたね。
山中貞雄です。
知らない人が
多いと思いますが
当然です。
今残っている作品数は、
あまりにも少ない。
ところが
その少ない作品が
全て名作なんです
山中貞雄監督は、
小津安二郎監督を
尊敬していました。
なので撮影も
ローアングルになっている
シーンもあります。
また
この映画には原作があります。
それは、歌舞伎の
『梅雨小袖昔八丈』
で、通称『髪結新三』と呼ばれています。
これを
前進座の花形である2人、
中村翫右衛門と
河原崎長十郎を
よく使うように
脚本の三村伸太郎に
言ったそうです。
なるほど、
原作では
新三しか出ていません。
もう一人の主人公、
海野又十郎は、
オリジナルだったんですね!
三村伸太郎は
他の仕事をほったらかして
この映画の脚本に専念しました。
この映画の完成試写後、
山中貞雄監督に
召集令状が渡されました。
そう、
この時は
第二次世界大戦だったんです。
山中貞雄は顔を青くして
「この映画が遺作になるんやったら
死んでも死にきれんな 」
と言ったそうです。
そして
戦地に行き
野戦病院で
29歳の若さで亡くなりました。
映画の結末と
監督の最後が
かぶってしまったのも
この『人情紙風船』が
伝説になった理由かもしれません。
オレ、兵隊に行くのいやや、
まだ作りたい映画がいっぱいある。山中貞雄
江戸の貧乏長屋で
浪人の首吊りが発生、
役人が調べに来る。
長屋の住人である
髪結いの新三は、
長屋の連中で浪人の為に
お通夜をしてやろうと言い、
大家を説き伏せて酒をせしめる。
お通夜が行われるが、
長屋の連中は
酒がただで飲めると喜び
陽気な馬鹿騒ぎを行う。
同じ長屋にいる
浪人の海野又十郎は、
父の知人の毛利三左衛門に
仕官の口を頼みに行くが、
《Wikipedia》より
Data
1937年 | P.C.L.映画製作所(東宝) |
監督 | 山中貞雄 |
脚本 | 三村伸太郎 |
出演 | 河原崎長十郎 中村翫右衛門 |
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