(1804〜13年作)
これは、
葛飾北斎が40歳代後半から
50歳代前半の間で描かれた作品です。
この絵のタイトルは、
「鏡見美人」とも
「夏の朝」とも言われています。
(向かって)画面の左下
白磁の金魚鉢には、
涼しげに泳いでいる赤い金魚。
そして右下には
黒漆に金蒔絵で桐の葉が描かれている柄鏡の上蓋
その上に染付の鉢に水を入れ朝顔を浮かべています。
朝顔の花は、
夏は朝早くに咲きますので夏の早朝だとわかります。
さらに
鉢のそばには、
うがい茶碗と房楊子(歯みがきの道具)が
置いてあります。
絵の全体を見直してみましょう。
釣り衣桁(いこう)には
男の着物が掛かっています。
男性より早く起きた女性が
身づくろいをしているんですね。
二の腕や裾に見える下着も慌てて着た感じや、
髪を整えるしぐさ、
鏡に顔の全貌を映して見せるとこなんか
生々しい色気を感じますね。
特に素晴らしいのが
着物と帯の表現です。
着物は流れるような綺麗な曲線
一方、帯はザクザクとした荒っぽい直線
着物と帯の柄もよく、
しかも洋画のような陰影的質感もいいですね。